[Diary/2004/September]

解決できない齟齬 / 2004-09-18 (土)

日本語が理解できる人

実は,そういう下級生が一人いる.
カナダ人なんだけど,日本に2年ぐらい留学して日本語を勉強してきた人.
彼にアブストラクトを直してもらったんだけど,やっぱり話が通じやすい.
僕が何を考えてその文を書いたのかという事を理解してくれるのだ.
僕の文はやっぱりどうしても文章の順番が日本語的になってしまうわけで,それは日本語が解らない人には難しい.
それを上手く吸収してくれるんだよね.

マスターはエリート?

で,言葉の問題以外にも深刻な齟齬と言うのが存在する.
これは欧米だけじゃなく,どちらかと言えば中東やアジア系の人達,それと南欧の人達なんだけど.

僕は日本に帰ったらかなりのエリートとして活躍できる,と考えてるらしいんだよね.

昨日,同級生が一人,論文を書き上げて(プレゼンはだいぶ前に終ってた人だけど,夏休み取ってた),学校の本部で学位取得の手続きをしてきた.
んで,僕もそろそろ終るわけで,手続きについて色々話を聞いていたら,
「日本に帰ったら薔薇色の生活だね.ここ修了した事はかなりアドバンテージになるででしょ」と言うわけだ.

おかしいなと思ってよくよく訊いてみると,
修士はエリートなんだそうだ.
…冗談でしょ,と耳を疑った.

しかしまぁ,日本じゃほぼ半分が大学進学するわけで(で,自動的に卒業),そういう状態は他の国じゃ考えられないって事なんだろうな.
本当に大学出なきゃ勉強できないことがある人が大学へ行くって感じで.
仕事に必要なことは,専門学校で学ぶということ.

でも,それもだいぶ変わって来てるのだろう.
ヨーテボリ大は,複数の専門学校を寄せ集めて,学士の学位を発行できるようにしただけの組織だからなぁ.
そういう風に,キャリアを求める風潮ってのは,どんどん広まって来ているということか.

そういや,日本での英語第二公用語化の話をした時には,
「普通の人が英語喋れる必要ないだろ」という意見を中国人,アジア人からよく聞く.
まぁ,文化を大事にしろって事なのかな,さすがアジア,と思っていたら,
その実,「俺達みたいなエリートだけが英語喋れればいいじゃん」という事らしい.

むむむ…社会的な階級意識強いんだねぇ.

英語名

某所でちょいと話題になっていたんだけど,
僕も,新入生入って来てちょっと議論した.

中国系の人は,本名の他に英語名をもって,通常欧米の人と接する時には英語名だけを使う.
実際,1年一緒に住んでた香港人(返還前にカナダ移住済)の本名を知っているのは僕だけだった.
僕自身はずっと本名で呼んでたんだけど.
本名は陳天論,表記する時はDylan Tinlun Chanとなる.Dylanが英語名.
他の人だと,Annie On Ni Wanとか.

去年と今年の新入生で中国系の人に,顔合せで僕が一番最初に訊いたのは,「本名は何ていうの?」ってこと.
連中,自己紹介も全部英語名でやるから.
英語名使ってる本人は,なんの抵抗もなく英語名を使う.本名を一切使わないのだ.

僕にとっては中国系の人を英語名で呼ぶのは,どうも抵抗がある.
勿論英語名の方が欧米の人には発音しやすい,という理由はわかる.
実際僕の名前を発音するのは,かなり面倒で辛いらしい.
スペイン語系の人はダイシって発音するし(語尾上がりでな),
英語系の人達は最後の子音は殆んど発音しない用にしてごまかしてる…のだろうか.
(ノルディック系は見事に発音してくれるよなぁ…どーなってんだ?)

そういう状況にあっても,僕は英語名をつけようなんて考えなかった.
英語名はその殆どが本名の発音をベースに付けているらしいんだけど.
それって,名前の意味を捨て去っている事にならないか?
僕等の漢字の名前っていうのは,発音を持つと同時に意味も持っている.
名前の要素の半分を捨て去ってしまうのは,納得いかねぇんだよなぁ.

もし,僕が英語名を強要されたとしたら,その時は意味から付けると思う.
でもね,難しいのよ.
うちの親父が僕の名前を漢字圏以外の人に説明する時は,「"The Earth"の意味だ」って言ってる.
それを素直に使うとなると,辛いよね.
実際僕が名前の意味を説明した時に,ものすごく驚かれたもの.

日本の場合,役職名でその人を呼ぶ習慣があって(伊賀守とかさ),僕自身はそれが嫌いじゃないんだけど,
なんで英語名を使うのはここまで嫌かな.

これもまた,どうしても解決できない文化的な齟齬なんじゃないかなぁ,と思った.

ヨーテボリの新型トラム

ちょっと前に書いた,ヨーテボリの新型トラム車両.
中央駅で御披露目イベントやってた.
5両連接で,やっぱり2両目と4両目は中づりだった.
ま,外装はいかにも普通の超抵床LRVなんだけど…内装がね.
木目調を多量に使用していることもあって,一見日本の老人ホーム.
車椅子動かすのにつっかかるような段差は全くないし,手摺もすごく多い.
うーむ,やっぱり色々考えてるんだなぁ.