[Diary/2009/March]

春から「特殊な」音大生になる人へ送る,音大生活7つのポイント / 2009-03-26 (木)

今日

練習と片付け.

特殊な音大生ってのも存在するのだよね

春から音大生になる人へ送る、音大生活7つのポイント。
なるほど.
しかし世の中にはコンピュータ音楽系や音響技術専攻などの「特殊な」音大生というのも存在するのである.

しかも最近はコンピュータ系や音響系を設置している学校がやたら増えたので(先生が大体知り合いというのが恐ろしい),結構「特殊な」音大生も多いはず.
安藤の場合は,通常の音大生としての生活を1年送った後に,当時としては珍しかった「特殊な」音大生としての生活を4年送った.
おまけに4月からは「特殊な」美大生に関わる仕事になるので,ちょっと考えてみた.

春から「特殊な」音大生になる人へ送る,音大生活7つのポイント

学外に友達を沢山作りましょう

学内にはあなたの味方はそれほど多くありません.普通の音大の先生からは疎まれる存在です.
積極的に学外のイベントや学会に出て,友達を作りましょう.

普通の音大生と仲良くしよう

たしかに我々は日本国内でははみ出し者ですし疎まれる存在です.でもクラシックの演奏者と仲良くしておいた方が,将来の人脈や作品創作を考えると絶対に有利です.お互いに違う視点で作品を見るので,話をしていると非常に面白いし,演奏家と一緒に作品作りをすることも良い経験になります.

演奏を録音させてもらうという実習もいいでしょう.普通の音大生はポータブルレコーダぐらいでしか録音できません.我々のようにキチンとマイクを立てて録音した音源に喜んでくれるはずです.我々も演奏家との実習機会を作るのは良い経験になります.

プログラミングの基礎は必ず勉強すること

「普通のソフト使ってるだけでも作品制作が出来るからプログラミング必要ない」という学生がたまにいますが,甘い!

ソフトで出来ることはあくまでソフトで出来ることであって,そんなもん音大に入らなくても出来ます. せっかくアート創作に特化したプログラミングの先生がいるのですから,在学中にきちんと勉強しておきましょう.

しかもMax程度ではなく,きちんとC言語やJavaなど,それが難しければアート特化型のインタラクション可能な高級言語(例えばFlash Action Script, Processingなど)を勉強しましょう.おそらく卒業後はゲーム会社に就職する学生が大多数だと思いますが,きちんと構築したインタラクティブ作品を持ち込めば,ゲーム会社でただサウンドエフェクト作りに回されるよりも幅広い道が開けるはずです.

クラシックや演奏の勉強をやめないこと

「大学に入ってしまえば必要ないんだ」と言ってクラシックや演奏の勉強をやめてしまう学生がいます.絶対にやめてはいけません.ソルフェや和声の授業をまじめにやらないのは,絶対にミスです.将来必要になる可能性が高い.演奏の勉強も続けましょう.たとえノイズ系のFiexed Mediaの作品でも,演奏をきちんとやってる人とそうでない人では,作品のクオリティが全然違います.

英語の勉強は必須

悲しいかな,コンピュータ音楽の世界では英語必須です. というのも国内ではそれほど人がいないしイベントがないので,海外で作品発表をすることが多いからです. しかもこの分野,情報系出身の人も多いわけですから,伊語,仏語,独語は共通語ではありません.基本は英語での会話となります.

というか大学院以上の人で海外の正規課程に在学経験のない人はほぼいないいないという分野ですので,もし将来を考えるなら絶対に今のうちに勉強しておいた方がいいです.

イタリア語,ドイツ語,フランス語など,通常の音大生に求められている語学の勉強をしている暇があるなら,英語を勉強しましょう.

会話だけではありません.この分野は英語論文を読むことも必須になりますので,読み書きもきちんと勉強しましょう.

数学も勉強しよう

最低限,大学理系教養数学の基礎ぐらいには手を付けましょう. 音響系でもIIRフィルタの設計ぐらいはできるようにならないと,自分オリジナルの音を作ることは出来ませんし,音響の教科書も理解できないでしょう.また,CGをやりたいひとなら行列演算は必須です.インスタレーションの人は自分で抵抗値等の計算をして回路を設計できないと作品が作れません.

アーティストにならないようにしよう

マルチメディアアートを扱う立場上,我々はどうしても「アーティスト」ぽくなってしまいますが,自分の作品を普通の音大生にも説明して理解してもらえるように努力することを忘れてはいけません.「アーティスト」のように自分だけ分かってればいいのではなく,分野外の相手に作品の良さをきちんと伝えられることが重要です.そういう意味で技術的なことに疎い普通の音大生は良い説明の練習相手になります.

分かりづらい作品は評価が低い,と経験上感じています.用いている技術なども明確に説明可能であればあるほど,ウケがいいのは確かです.

意味不明な説明をまくしたてる「アーティスト」になってはいけません.

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