[Diary/2009/March]

「あの楽器」と普及する楽器に必要な要素 / 2009-03-07 (土)

このところ

引っ越しとか論文とか色々.
インタラクション2009へ参加.

ある程度次に作るものの方向性が見えてきた感じ.
使ってもらえなきゃ話にならんのです.

「あの楽器」という新しい楽器

で,インタラクションに関係して.
「あの楽器」(ニコニコ動画)という新しい楽器の開発が行われているという話.

もともとは初音ミクのPVで出てきたタッチパネル+2DCGエフェクトという楽器なのだけれど,
これをiPhoneで再現したものが多数登場している.

お金があれば,でかいタッチパネルとか使って自作できるのだろうけど,まぁそれは置いておいて,
インタラクションに参加しているような人達ではなくても,こういう新しい楽器が普及する余地があればいいなという話.

新しい楽器として必要な素要というのは,研究でいくつか提案されているのだけれど,
安藤が考える絶対に必要な要素は,「既存曲を既存のアーティキュレーションで演奏することが可能」という点.
既存曲が普通の聴衆が理解できる表情付けで演奏できなければ,楽器演奏スキル習得の大きなモチベーションの一つである,「他の楽器とよく知られた曲を一緒に演奏するという楽しみ」が得られないからである.
それに加えて,「既存の楽器では出せない音色や音域,新たな拡張可能な演奏法での演奏が可能」であるということも必須.
これは新しい楽器であるために必要なことである.既存の楽器で代替可能ならば新しい楽器は必要ないから.

つまり「新しい要素を持ちつつ,既存のアーティキュレーションを再現できる」というのが新しい楽器に必要な要素である,と安藤は考える.

この「あの楽器」の新しい要素というのはなんだろう? 2DCGが操作によって生成されるのは既に新しくない. 楽器としての新しい要素はおそらく操作系にある.

インタフェースがタッチパネルなので,単純にタッチ検出だけでなく,スライド(おそらくドラッグアンドドロップにより再現)を検出し上手く使うことで,新しい操作系になるのではないだろうか?
右手スライドで操作って,オンドマルトノやテルミンで例があるけれど,2次元でのスライドで操作という(まともに成立している)楽器はおそらくないはず.
左手が空いているので左手でピッチを決定し,右手2次元スライド動作で発音をコントロールすると,弦楽器的インタフェースでありながらも全く新しい操作系になる.
かつ表現力が大きくなるのではないかな?

タッチパネルにYAMAHAのEZギターのネック部分だけを採用することで,面白い楽器になりそうな気がする.