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低ギア比への誘惑 - 沼の始まり - 6700に30Tと5700に32Tが出た!

低ギア比沼の始まり

思えばあれが沼の始まりだった…….

4600系Tiagraの発売開始と同時にリア30Tが追加,ついでミドルケージのRDをダブルで使うことで最大32T対応……と言うRDが出たのだ.

タイミングを合わせて既に発売済みだったRD-6700-SSのケージがリファインされ「RD-6700A-SS」となり最大30T対応となり,CS-6700に12-30Tが追加された.
(型番変更なしで,ケージに30Tと記載だけがあった)

5700もRD-5700A-SS(最大30T対応)とRD-5700A-GS(ミドルケージをダブル使用で最大32T対応)という者にリファインされた.(最初は型番変更なしでケージの「30T文字」のみ,後に型番は5701となる)
こちらはスプロケは追加されなかったため,12-30TはUltegraかTiagraのものを,最大32Tスプロケに関してはSRAMのものを流用するのが定番となった.

低ギア比にこだわる理由

振り返ってみれば,初ロードとして購入した88年製丸石エンペラーに搭載されていたコンポは「Shimano New 600 EX + Biopace」,インナー39T,リア11-24Tという現在では考えれられない高ギア比であり,それで有馬なんかを登っては「自分は坂に向いていない」と思っていたのだが,実際にはただ単に自分の脚質に合ってないだけなのかもしれない.

このカテゴリは,それならば低ギア比を極めて見るのも趣味として一興,それがたとえ実用ではなくても,突き詰めることにこそ面白さがあるのだ,という超ド貧脚の開き直りである.

2014年末の現在では,6800と5800でミドルケージでの32T対応,3500に至ってはショートケージですら32T対応という,低ギア比がデフォルトになってしまったため,低ギア比に対する非難はもはや過去のものだが,当時は「そんな軽いギア進まないだろ?」というコメントを出す人が大多数であった.

それがたった2年で「リア32Tがデフォルトでセットアップされている完成車」を頻繁に見るようになるとは,当時は思いもしなかった.
唯一GIANTがスラムコンポでロードの32T完成車を出していたぐらいである.

何はともあれリア30T

最初に30Tが出て,その後にミドルケージの32Tが追加されたため,まずは30Tから試すことになった.
Ultegraグレードの12-30Tスプロケットは後になってから登場したため,最初の30TスプロケットはTiagraグレードとなった.
組み合わせは以下の通り.

  • フロントチェーンリング: FC-5750 50/34T
  • フロントメカ: RD-5700
  • リアスプロケットCS-4600 12-30T
  • リアメカ:RD-5700A-SS

これで通勤車を組み上げ,走り始めた.
感想は……「まだ重い!」であった.

当然それまでフロント34Tリア25Tが一番軽かった通勤車に比べればはるかに軽いのだが,それでも,(当時の脚力の限界もあり)「100キロ走った後に大垂水峠を越える」のが厳しかったのは確かだ.

「初心者が,どれだけ疲れてても山を越えられる,安心感」をその後の低ギア比探求のキーワードにするようになる.

そして「シマノの低ギア比の流れはまだ続くはず……」,抱き始めたそんな思いが32Tの登場で歓喜に変わる.

32Tにいくぜ!

ついで市場に投入された5700のミドルケージRDの32T対応化リファイン.
しかし対応の32Tスプロケはシマノからは出なかった.
(当時.今はMTB Dynasys 10s用がシマノ公式A互換となっている)

色々探った結果,SRAMはロードとMTBでスプロケが共通であり,PG-1050に11-32Tと12-32Tがあり,これがシマノにもそのまま使えることがわかった.
Wiggleさんで嬉々として2つ購入.当時の円高ですら6000円以上して,それを2個.
アホである.

感想「素晴らしい」としか言いようがなかった.
どれだけ疲れてても,よほどひどい坂でない限り自分の力で家に帰れるのである.
これが貧脚初心者にどれほどの安心感を与えてくれるのか,乗り始めた時から剛脚の人には想像もつくまい……だが,とても重要なことだ.

32Tの副作用と副次的効果

通勤車の最大32Tの仕上がりに喜んだので,休日用パナチタンにも組み込むことになった.
パナチタンの方の構成は以下の通り.

  • フロントチェーンリング: FC-6750 50/43T
  • フロントメカ: FD-5700
  • リアスプロケット: SRAM PG-1050 12-32T
  • リアメカ: RD-5700A-GS

そのパナチタンで,AJたまがわ主催三浦120走行会に参加したところ,副作用と副次的な効果を感じることができた.

それは「フロントアウターにしっぱなし」である.
リア最大32Tなので,「気にしなければ」アウターローで三浦半島ならば大抵の坂が登れてしまうのである.

つまり副作用とは,アウター入れっぱなしなので,インナーを使っている時に比べて後ろのギア比がワイドになり,ペース調整が難しく,長距離での疲労が大きくなるであり,
(アウターローのチェーン抵抗増大も勿論副作用である)

副次的効果とは,フロント変速しなくても走れてしまう楽さである.

これはこの先も苦労して行くことになるのだが,低ギア比を進めていく中で「アウター入れっぱなし」になることが多くなり……ギア比のワイド化に苦労することになり,次の記事で書くフロントチェーンリング小径化に繋がっていくのである.