[Work/Class/サウンドトラック制作基礎/composite_piece]

既成のループ素材の使い方 - FL Studioでテンポ情報を加えて切り貼りする

有償ループ素材とフリーのループ素材

これまでは自分で「フレーズの素材」を作ってきた.これを「ループ素材」という呼び方をする.

当然ながら,既に誰かが作ったループ素材というものがあり,これは著作権処理が問題ないようにした上で販売されていたり,フリーで配布されていたりする.特に有償のものは非常にクオリティが高いので,劇伴を作る際には,この既製品の「ループ素材」を最大限活用するとよい.

有償のものはダウンロード販売だったりDVD-ROM販売だったりするが,大体の場合はテンポ情報が書き込まれたサウンドファイルになっていることが多い.
Wavの場合「ACIDized wav」(FL Studioで書き出しているのもこれである), aiffの場合「Apple Loop」という形式であることが多い.

それに対してフリーのものは,テンポ情報が書き込まれていない状態で配布されているものがほとんどである.wavだったりmp3で配布されている.この場合,そのままStudio Oneに突っ込むとテンポを変えても追従してくれない.これは劇伴作成用としては致命的であるので,FL Studioを使ってテンポ情報を書き込む.

テンポを付与して一度書き出す

今回は「ドラム・ループ素材工房」で配布されている素材を使う.

BPM(Beat per minite, テンポのこと)180の素材とBPM120の素材をダウンロードした.大体の場合このようにダウンロードしたファイル名にテンポが書いてあるが,書いていない場合もあるので,ダウンロードする前に配布サイト側のテンポ表示をよく確認すること.

FL Studioを起動し,テンポ表示の部分を上下にドラッグして(左側をドラッグすると大きく変わり,右側をドラッグすると小数点以下が変わる),

テンポを合わせる.今回はテンポBPM180のファイルを使うため,180に合わせた.

ファイルをそのままFinderやExplorerからドラッグ&ドロップする.

するとちゃんとテンポがあった状態で取り込まれる.(ドラムループだとちゃんとテンポにあっていることが,見た目からもわかる)

位置を頭に持って来て1小節目から再生できるようにする.

この状態で,ループを作成した時のようにWavファイルで「Tempo Information」を入れたままWavファイルのExport出力すれば,その後はそのファイルはテンポ情報を持っていることになるので,テンポ変化に追従できるようになる.

注意点

あまりテンポが違いすぎる既成ループ素材を使うと,奇妙に聴こえてしまう.これは「ゆっくりとしたテンポのフレーズ」「速いテンポのフレーズ」で,そもそも全く違ったフレーズであったり,全く違った演奏の仕方をしていたりするからである.

また音響的にもクオリティが低くなってしまうことがある.(場合によっては再生できなくなることもある)

既成ループ素材を使うときには,テンポが近いフレーズを探すこと.

再度読み込んで切り貼りする

「前半だけ欲しい」「後半だけ欲しい」「中間だけ欲しい」などの場合は,要らないところを切ってしまう.

例では8小節のうち前半4小節を切って,後半4小節を2回繰り返すようにしてみる.

テンポをつけてExportしたループを,再度FL Studioに読み込んだ状態.

今までプレイリスト(ソング)操作の中では意識していなかったが,実は「鉛筆」ツールが選択されている.

カッターナイフツールを選択.

今回は5小節目の頭で分割したいので,5小節頭の位置で,カッターナイフで切るように上から下へドラッグする.

分割された.

鉛筆ツールに戻して,前4小節分を右クリックで消す.

残った4小節を前に動かす.

そうすると,パターンとして「残っている」のは,後半4小節だけになるので,パターンの所からドラッグ&ドロップしてきて,後ろに貼り付ける.

あとはこの状態で再度エクスポートしてやればよい.